2026.07.19
「手に職をつけたい」「体を動かす仕事がしたい」——そう考えたとき、候補に挙がるのが塗装職人です。とはいえ、「実際は何をする仕事なのか」「未経験でも本当になれるのか」「道具や資格はどうするのか」など、外から見えにくいのも事実。この記事では、外装リフォーム会社の採用担当の視点から、塗装職人の仕事内容・工事の流れ・1日のスケジュール・未経験からのステップアップまで、まとめて解説します。
塗装職人の仕事内容
塗装職人は、戸建てやマンション・アパートの外壁や屋根を塗り替え、建物を雨風や紫外線から守る仕事です。単に「色を塗る」のではなく、建物の寿命を延ばすための工事です。外壁や屋根は常に紫外線と風雨にさらされており、塗膜が劣化したまま放置するとひび割れから雨水が入り、建物の構造まで傷めてしまいます。それを防ぐのが塗装工事——見た目をきれいにする仕事であると同時に、お客様の資産を守る仕事でもあります。
主な仕事は次のとおりです。
- 高圧洗浄・下地処理 — 汚れや古い塗膜を落とし、ひび割れを補修する。仕上がりを左右する最も大事な工程
- 養生 — 塗らない部分をビニールやテープで保護する
- 下塗り・中塗り・上塗り — 塗料を3回に分けて塗り重ね、耐久性のある塗膜をつくる
- 防水工事・屋根工事 — ベランダの防水、屋根の塗装や補修など
外壁塗装工事の流れ(着工から完工まで)
1軒の外壁塗装は、おおむね次のような工程で進みます。戸建ての場合、工期は天候にもよりますが2週間前後が一般的です。
- 足場の設置 — 安全に、隅々まで丁寧に塗るための土台。飛散防止ネットも張る
- 高圧洗浄 — 外壁・屋根の汚れ、コケ、古い塗膜の粉(チョーキング)を洗い流す
- 下地処理(ケレン・補修) — ひび割れの補修、サビ落とし、目地のシーリング打ち替えなど。塗装の持ちはここで決まると言われる
- 養生 — 窓・玄関・植木など、塗らない部分をビニールで覆う
- 下塗り — 下地と仕上げ塗料を密着させる、接着剤の役割
- 中塗り・上塗り — 仕上げ用の塗料を2回重ね、塗膜に厚みと耐久性を持たせる
- 点検・手直し — 塗り残しやムラをチェックし、細部を仕上げる
- 足場解体・清掃・お引き渡し — 現場をきれいに片付けてお客様へ
未経験で入った場合は、この中の「洗浄・養生・下地処理」といった工程から覚えていくのが一般的です。地味に見えて、実は仕上がりを左右する重要工程。ここを丁寧にできる人が、いい職人になります。
塗装職人が使う道具
塗装の道具はシンプルですが、それぞれに奥があります。
- ローラー — 広い面を塗る主力道具。毛の長さや材質を、塗る面や塗料によって使い分ける
- 刷毛(はけ) — 細かい部分や際(きわ)を塗る。職人の腕が最も出る道具
- ケレン道具(皮スキ・ワイヤーブラシ・サンドペーパー) — 古い塗膜やサビを落とす下地処理用
- コーキングガン — 目地やひび割れにシーリング材を充填する
- 高圧洗浄機 — 施工前の洗浄に使う
気になるのが道具の初期費用ですが、会社によっては道具・作業着を支給しています。マルセイテックでは道具・作業着はすべて会社支給なので、初期投資ゼロで始められます。
1日の流れ(一例)
- 8:00 現場に集合、朝礼で当日の作業と安全確認
- 8:30 作業開始。養生や下地処理、塗装作業
- 10:00 小休憩
- 12:00 昼休憩
- 13:00 午後の作業。塗装の続き
- 15:00 小休憩
- 17:00 片付け・清掃をして作業終了
現場仕事のため日中が勝負。夕方には仕事が終わり、夜の時間を自分のために使えるのも職人の働き方の特徴です。また、塗装は天候に左右される仕事で、雨の日は基本的に塗装作業ができません。雨天時は工程の調整や別の作業に充てるなど、現場ごとに段取りを組み直します。
未経験でもなれる?——最初の3年のステップ
なれます。塗装職人に学歴や資格は必要ありません。ステップアップのイメージは次のとおりです(習得のスピードには個人差があります)。
1年目:現場に慣れる
道具の名前と使い方を覚え、養生・高圧洗浄・ケレンといった下準備の工程を担当します。先輩職人の動きを見て、現場の段取りと安全のルールを体に入れる時期です。
2〜3年目:塗る仕事を任される
下塗りから始まり、ローラーでの中塗り・上塗り、刷毛での細部の仕上げへと、任される範囲が広がっていきます。このあたりで「手に職がついてきた」という実感が出てきます。
その先:資格とキャリア
実務経験を積むと、国家検定である塗装技能士に挑戦できます。さらに班長として現場をまとめ、工事責任者、施工管理へと進む道もあります。詳しくは関連記事へ: 塗装職人が取れる資格まとめ / 職人から施工管理へ——キャリアパス解説
向いている人・向いていない人
向いているのは、こんな人です。
- ものづくりや体を動かすことが好きな人
- コツコツと技術を磨くのが好きな人
- 「自分の仕事が形に残る」ことにやりがいを感じる人
- チームで動くのが苦にならない人(現場は数人のチーム作業です)
一方、作業を早く終わらせることだけを考えてしまう人には向きません。塗装は「どれだけ丁寧にやったか」が数年後の持ちに表れる仕事だからです。逆に言えば、丁寧さはそのまま評価になります。塗り上がった建物は10年以上その街に残ります。自分の腕が上がるほど任される仕事が増える、成長がわかりやすい仕事です。
塗料の種類も、覚える技術のうち
ひと口に塗料といっても種類はさまざまで、代表的なものだけでも次のようなグレードがあります。
- アクリル系 — 価格は手頃だが耐久性は短め。近年、外壁の仕上げでは使われる場面が減った
- ウレタン系 — 柔らかく扱いやすい。雨どいや鉄部などの付帯部で活躍
- シリコン系 — 価格と耐久性のバランスが良く、外壁塗装の定番グレード
- フッ素系・無機系 — 高価だが耐久性の高い上位グレード
どの塗料をどの下地に、どれくらいの厚みで塗るか。乾燥時間はどれだけ置くか。こうした知識が仕上がりと耐久性を左右するため、塗装職人は「体で覚える技術」と「頭で覚える知識」の両方を積み上げていく仕事です。覚えることが多いぶん、経験の差がはっきり価値になります。
季節との付き合い方
屋外の仕事なので、季節の影響は正直にあります。夏は暑さとの勝負で、こまめな水分補給と休憩で体調を管理しながら作業します。冬は塗料の乾燥に時間がかかるため、気温を見ながら工程を組みます。春や秋は塗装に向いた気候で、現場が動きやすい季節です。天候や気温を読みながら段取りを組み立てるのも、経験がものを言う職人の技術のうちです。
安全もプロの技術
外壁塗装は足場の上での高所作業が中心です。だからこそ、ヘルメットや墜落制止用器具(フルハーネス)の正しい使用、足場上での動き方、道具の置き方まで、安全のルールを最初に叩き込まれます。「安全に作業できること」自体がプロの技術であり、長くこの仕事を続けるための土台です。
塗装職人の将来性
外壁や屋根の塗装は、おおむね10年前後で塗り替え時期を迎えるといわれます。つまり、建物が建ち続ける限り、塗り替えの需要はなくなりません。新築が減っても、すでに建っている住宅のメンテナンス需要は積み上がっていきます。加えて、職人の高齢化により若い担い手は業界全体で不足しており、技術を身につけた若手の価値は年々上がっています。機械やAIに置き換えられない「手の技術」であることも、この仕事の強みです。
「きつい・危険・汚い」は本当か
建設系の仕事には、いわゆる「3K」のイメージがついて回ります。正直に言えば、体を使う仕事であることも、高所作業があることも、塗料で手が汚れることも事実です。ただし中身は昔とは変わっています。安全教育と保護具の徹底で危険は管理されるものになり、道具や塗料も扱いやすく進化しました。そして何より、きつさの先に「技術が自分に残る」というリターンがあります。座って画面を見る仕事で夕方に残るのは疲れだけですが、現場仕事の夕方には、今日塗り上げた壁が残ります。この手応えを重視する人にとって、塗装職人は悪くない選択です。
よくある質問
Q. 体力に自信がなくても大丈夫?
最初はきつく感じることもありますが、体は慣れていきます。無理のない範囲から段階的に仕事を覚えていけます。
Q. 資格は必要?
入社時には不要です。働きながら塗装技能士などの資格を取得してキャリアアップできます(マルセイテックでは取得費用を全額会社負担)。
Q. 雨の日はどうなる?
塗装は雨天時には基本的にできないため、工程の組み直しや別の作業に充てます。天候と付き合いながら段取りを考えるのも、職人の仕事のうちです。
Q. 何歳からでも始められる?
塗装職人に年齢制限はなく、20代はもちろん30代・40代から始める人もいます。スタート年齢よりも、続けた年数と丁寧さがものを言う世界です。
Q. 最初はどんな仕事から?
養生・高圧洗浄・ケレンといった下準備からが一般的です。仕上がりを支える大事な工程を通じて、道具と現場に慣れていきます。
Q. 夏や冬の作業はきつくない?
夏は水分補給と休憩をこまめに取り、冬は塗料の乾燥時間に気を配るなど、季節に合わせて段取りを変えます。屋外仕事ならではの大変さはありますが、体調管理も含めて職人の技術のうちです。
Q. 将来は独立もできる?
技術を身につければ道は広がります。ただし独立は施工以外の仕事もすべて背負うことになるため、まずは会社で技術と現場経験を固めるのが近道です。詳しくは キャリアパス解説 をどうぞ。